[ 04 / MONDO ]

M.001 · MONDO-DI NOTA ·

せいはい

SACRABOLLA

情報の器。古い容器として記述され、しばしば器のない器として機能する。

聖杯は、器としての存在と、器としての不在を同時に要求される。

物理的な聖杯——金属や陶や硝子で作られた器——は、歴代のジューサー家系の倉に納められ、儀礼の節目ごとに持ち出される。ただし、記録された現存数はつねに記録された喪失数を下回り、差分はそのつど「本来の器は別の場所にある」と説明されてきた。この差分こそが制度としての聖杯であり、物質としての聖杯の欠落によって制度は稼働する。

聖杯のもうひとつの機能は、情報の保管庫である。搾られた果汁は残渣を残し、残渣はときに記憶として拾われる。拾われた記憶は、聖杯の内面に刻まれた古い傷と不可分になる。したがって聖杯は、刻印された表面と刻印された記憶のあいだで、どちらを原本とするかを保留したまま運ばれる。

SACRABOLLA という語そのものは、稀に単数形で用いられる。複数形がないのではなく、複数形を用いることが禁忌として扱われている。複数であることを認めた瞬間に、制度は制度でなくなる。