[ 06 / LEKSIKO ]

LEKSIKO

VOKABO · 38 FAKTA

ジューストピア語の辞書。語は root(根語)→ compound(合成語)→ common(常用)→ affix(接辞)の順で並ぶ。 定義は暫定であり、本文中の用例とのずれは本文側が正しい。

根語 CORE

LEYDA-MONO レイダ・モノ n.

小説

「読まれるべき物」。書かれた時点で読まれることを予約された文書。予約は果たされるとは限らない。

ETYM leyda(読む)+ mono(物)。mono は物体と物語の両方を指す。

MONO KORTA · MONO LONGA · MOKURO

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MONTRA-MESA モントラ・メサ n.

画集/展示卓

「示された卓」。卓上に並べられた画像群を指す。卓は動くが、画像は動かない。

ETYM montra(示す)+ mesa(卓)。

PANA

MOKURO モクロ n.

目録

数え上げの様態。完備ではなく「欠けを明示しながら数える」動作。静的な一覧ではない。

VOLA · FAKTA

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VOLA ヴォラ n.

目録の単位。各巻は必ず「欠けがある」という注記で閉じる。ページ数は不定。

ETYM volu(巻く)の名詞化。巻物としての書物形態の記憶を残す。

MOKURO · FAKTA

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NOTA ノタ n.

注/ノート

注記。本文に付随して、本文より強く制度を決定しうる。脚注王制の基単位。

NOTA-DI DOL · DOL-SHA

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DOL-SHA ドル・シャ n.

王/支配者

支配する者。現在の脚注王制においては、空位であることで機能する概念。

ETYM dol(支配)+ sha(者)。sha は動作主を作る接尾辞。

NOTA-DI DOL · KOMANDA

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ZUK-SHA ズク・シャ n.

ジューサー/搾る者

聖杯との契約を継ぐ家系。契約は姿勢と手の角度によって受け継がれる。

ETYM zuk(搾る)+ sha(者)。

SACRABOLLA · SUK-FORNA

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SACRABOLLA サクラボッラ n.

聖杯

情報と果汁の器。単数形でのみ用いられ、複数形は禁忌。

ETYM sacra(聖)+ bolla(器/泡)。bolla は泡を意味する常用語の転用。

ZUK-SHA · SUK-FORNA

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KOMANDA コマンダ n.

命令詩

音ではなく意味を書き換える言葉。拍を要する。所有者のない命令詩は手続きに偽装する。

NOTA-DI DOL · DOL-SHA

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ZURGWEL-NARMA ズルグウェル・ナルマ n.

選果

聖杯が個体を選別する閾値反応。意志ではなく、通るか拒まれるかの二択のみ。

ETYM zurgwel(選ぶ、篩う)+ narma(果実/個体)。主語は果実の側にある。

SACRABOLLA · ZUK-SHA · SUK-FORNA

⇒ MONDO zurgwel-narma · sacrabolla

SUK-FORNA スク・フォルナ n.

果汁化

対象を流動資源へ圧搾する手続き。対象の拡張は合意の更新によって進む。

ETYM suk(汁・果汁)+ forna(炉)。炉を用いた圧搾の時代の痕跡。

SUKTONIUM · SACRABOLLA · ZUK-SHA

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NOMA ノマ n.

名。固有名、通名、旧名をいずれも含む。名の変更は手続きではなく姿勢の変更として扱われる。

NOMA-DI MOKURO

SUK スク n.

ジュース/血/命/資本

液体の流通単位。物理的には果汁、経済的には資本、身体的には血、宗教的には命——いずれも「圧搾と流れ」の側面を持つ。交易ピジンに由来する最古層の語で、suktonium、suk-forna、zuk-sha など世界の主要語彙の root として生き続ける。

ETYM 交易ピジン由来。「搾り取られたもの」を意味していた原義が、やがて「流動する価値」全般を指すように拡張した。

SUKTONIUM · SUK-FORNA · ZUK-SHA · SACRABOLLA

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PANA パナ n.

台帳

統治の根幹をなす記録媒体。意図的記録のみを保存し、記録されなかったものは存在しなかったことになる。nota(脚注)が本文に付随するのに対し、pana はそれ自体が本文である。ただし脚注王制下では、pana の行間で実際の統治が走る。

ETYM ミューズ整備。沈黙紀の観測記録の様式を継承している。

NOTA · NOTA-DI DOL · MOKURO · FAKTA

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SELO セロ n.

印章

恒久的な定義を与える器具、またその痕跡。紙片に押された赤い円、壁のタイルに並ぶ「検査済」の印、契約書の末尾に沈む黒——selo が押された対象は、押された瞬間からそれ以前とは別のカテゴリに属する。印は何も禁止も命令もしない。しかしその前で人は一瞬だけ姿勢を直す。

ETYM コマツ家・帝国共通の職業語。古くは杯の封蝋を指していた。

STAMPA · NOTA-DI DOL · KOMANDA

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SENA セナ n.

沈黙/死/政治的抹殺

発話されなかったこと、記録されなかったこと、削除された視線の総称。物理的な無音だけではなく、「本来あるべき音が抑圧されている状態」を指す。沈黙紀(Sena-Volta)は、この状態が数千年続いた時代の呼び名。sena に落ちたものは、nota でも pana でも拾い直せない。

ETYM ミューズ保存。数千年の沈黙を見つめ続けた虫族の哲学的影響を受けている。

PANA · NOTA

YUMEI ユメイ n.

夢酔い

帝国圏から伝染する存在確率の揺らぎ。罹患した個体は、自分がそこにいることと、そこにいないことのあいだを、本人も周囲も確定できなくなる。蒸気を媒介に物理的にも広がる。ジュイストピア語の語彙体系の外から来た概念で、語源分析ができない——これもまた yumei の性質の一部である。

ETYM 語源不明(外来概念)。帝国の公文書では「確率工学的異常」として扱われるが、市井では「夢で見たことが朝になっても消えない症状」と呼ばれる。

SUKTONIUM

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SHIKO シコ n.

虫族

甲殻と触角を持つ種族。数千年の沈黙紀を意識を保ったまま過ごし、その間に最も安定した普遍哲学を獲得した。人族の言語にも shisha(ひそひそ話)・shima(振動)・shol(香気)など、虫族由来の sh- 語彙が深く浸透している。

ETYM 虫族借用語。虫族自身は自らを「shi-」で始まる多くの名で呼ぶ。

FRUDO

FRUDO フルド n.

フルーツ族

果実を頭部に戴く種族。古代の王族の多くはこの系統で、聖杯との契約を通じてフルーツ族に優位な世界を設計した。現代紀では「王のフルーツ(I Sei Spremuti)」と呼ばれる残党集団が、潜伏しながら制度の押印によって統治を続けている。

ETYM ミューズ保存。単数形 frudo、集合名詞的にも使う。

SHIKO · ZUK-SHA · SACRABOLLA

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合成語 COMPOUND

DORO-DI BANDA ドロ・ディ・バンダ n.phr.

泥の帯

果汁化の下流に堆積した地層。副詞句のみの断章が埋まる。

ETYM doro(泥)+ di(属格)+ banda(帯)。

SUK-FORNA · BANDA

⇒ MONDO doro-di-banda · suk-forna

NOTA-DI DOL ノタ・ディ・ドル n.phr.

脚注王制

注(nota)による支配(dol)の体制。王の不在を注釈で埋める。

ETYM nota(注)+ di(属格)+ dol(支配・王権)。

NOTA · DOL-SHA · KOMANDA

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SUKTONIUM スクトニウム n.

ジューストニウム

果汁化の副産物が結晶化した物質。近傍では時間がわずかにずれる。

ETYM suk(汁)+ -tonium(金属接尾辞)。金属語彙の借用。

SUK-FORNA

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NOMA-DI MOKURO ノマ・ディ・モクロ n.phr.

登場人物/人名録

目録化された名。名は目録されることで輪郭をもつが、目録から外れた名も存在すると想定されている。

ETYM noma(名)+ di(属格)+ mokuro(目録)。

NOMA · MOKURO

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MONO KORTA モノ・コルタ n.phr.

短編

短い物語。長さの下限はなく、上限は「一息で読み終えられるかどうか」で測られる。

ETYM mono(物/物語)+ korta(短い)。

LEYDA-MONO · MONO LONGA

MONO LONGA モノ・ロンガ n.phr.

長編

長い物語。長さの上限はなく、下限は「注釈を必要とするかどうか」で測られる。

ETYM mono(物/物語)+ longa(長い)。

LEYDA-MONO · MONO KORTA · NOTA

RIGOLA UN-MA リゴラ・ウン・マ n.phr.

本編/主軸

数えあげの一本目、主となる糸。複数の糸のうち「un-ma(最初の糸)」を指す。他の糸の存在を否定しない。

ETYM rigola(糸・線)+ un(一)+ ma(糸・道)。

LEYDA-MONO · BANDA

NORMA-TAK ノルマ・タク n.phr.

標準

決定の痕跡を持たない標準。誰も決めなかったから変えられない。

ETYM norma(規範)+ tak(黙)。「黙って決まった規範」。

MANKA-KEL · KOMANDA

⇒ MONDO norma-tak

MANKA-KEL マンカ・ケル n.phr.

欠けあり/不完全

欠けがある状態。目録の各巻は必ずこの語で閉じられる。欠けの存在が完全性の条件である。

ETYM manka(欠ける)+ kel(あり/にて)。

NORMA-TAK · MOKURO

⇒ MONDO mokuro · norma-tak

GRATI-DI NOTA グラティ・ディ・ノタ n.phr.

謝辞/クレジット

注記への感謝。本文ではなく注釈への謝辞として記述される。

ETYM grati(感謝)+ di(属格)+ nota(注)。

NOTA

常用 COMMON

FAKTA ファクタ n.

項/ファクト

目録における一項目。事実性は含意しない。「項として数えられた」という事実だけを表す。

MOKURO · VOLA

BANDA バンダ n.

帯/連

帯状にまとまった区分。シリーズを指す語としても用いられる。

DORO-DI BANDA

STAMPA スタンパ v.

刻印する

対象に恒久的な定義を外付けする行為。selo(印章)を道具として用いるが、stampa はその動作そのもの。机に押せば机が、床に押せば床が、街に押せば街が、押された瞬間からそれ以前とは異なるカテゴリに属する。ジジバルバの権能は、この動詞を制度規模に拡張したものである。

ETYM 交易ピジン。原義は「足で踏む」。踏むことと印すことが同一の動作として語彙化された。

SELO · KOMANDA · NOTA-DI DOL

⇒ MONDO nota-di-dol · komanda

PREM プレム v.

搾る(制度的)

対象から suk を取り出す手続きのうち、合意・契約・帳簿に沿って行われるもの。zuk が暴力的な圧搾を指すのに対し、prem は帳簿の一行として書かれる圧搾である。罪悪感は書類が肩代わりする。

ETYM 交易ピジン。帝国の初期規格書に頻出する動詞。対立語の zuk は荒野ピジン。

SUK · SUK-FORNA · ZUK-SHA

⇒ MONDO suk-forna · zuk-sha

FUGA フガ v.

逃げる

対峙を回避し、別の位置に移動する行為。ジュイストピア語ではしばしば敗北ではなく「位相を変える選択」として記述される。ヴィリナの家系離脱は fuga で記録され、記録されたことでむしろ恒久化した——fuga の逆説性を示す用例。

ETYM 交易ピジン。語源は「音が逃げていく」擬態語。

ZUK-SHA

⇒ MONDO zuk-sha

DOLSA ドルサ adj.

甘い/帝国の支配・誘惑

味覚としての甘さを指す語。ただし拡張義で「帝国による支配的な優しさ」「撤回可能な好意」を意味する。dolsa は常に撤回される可能性を内包し、amara(苦い)との対立軸を作る。命令詩の語尾にも現れる。

ETYM ミューズ保存。原義は果汁の糖度、そこから「味わえば離れられない」統治様式へと拡張した。

AMARA · SUK

AMARA アマラ adj.

苦い/連邦の自由

味覚としての苦味。拡張義では「連邦・カロティア的な自由」「代償つきの選択」を指す。dolsa が「拒めない優しさ」なら、amara は「報いられない正しさ」。両者は世界の味覚軸を二分し、どちらかに属さない存在は味を失う。

ETYM 交易ピジン。カロティア連邦の口語で最も使われる形容詞のひとつ。

DOLSA