M.003 · MONDO-DI NOTA · 手続き
果汁化 かじゅうか
SUK-FORNA
記憶・経験・存在を流動資源へと圧搾する手続き。残渣は、ときに記憶として拾われる。
果汁化は、ジューストピアの経済と儀礼の中核にあたる手続きである。圧搾の対象は、初期には果実、やがて時間、やがて記憶、やがて経験、やがて存在そのものへと拡張されていった。対象の拡張は、圧搾機構の更新ではなく、「これもまた圧搾できる」という合意の更新によって進んだ。
果汁化された素材は、流動資源として杯に移され、配給または保管に回される。副産物として残渣が発生する。残渣は通常、排水路に流されるが、稀に回収されて「記憶」として販売される。記憶として売られる残渣は、元の所有者の記憶である場合もあれば、誰のものでもない場合もある。購入者はそれを区別しない。
SUK-FORNA の「FORNA」は、炉の語根を含む。圧搾が炉を介する工程であった時代の痕跡である。現在の圧搾は炉を用いないが、語は残った。語は手続きに先立ち、手続きが語に追いつくのを待つ。